手持ち花火
子供達が「花火をしたい」と言い始めました。夏はもう目の前。もうそんな季節ですね。
私も子供の頃は両親とよく花火をやりました。
水の張ったブルーのバケツとろうそく。パジャマを着たまま外出する楽しさ。そんなことを思い出します。
近くのスーパーに足を運んでみると、いつのまにか花火コーナーなるものが作られており、手持ち花火からシューっと音をさせて噴出する花火まで実にさまざまな種類のものが売られていました。
子供達だけでもできそうな安全なものを選び、「これはパパの分」といいながら辛子明太子を買って帰りました。今日はこれを焼いて、ビールのつまみにする算段です。
早めにお風呂に入って、ご飯を食べて。
まだ外が明るいうちからせがむ子供達に引っ張られ、ほとんど口をつけていないビールに未練を残しながらいざ出陣。
花火を袋から出し、ろうそくに火をつけてやって、怖いとか怖くないとか言う子供達を見守ります。
ぱっと明るくなり、浮かび上がる子供達の表情。たくさんの煙と音を出しながらあっという間に燃え尽きてしまう花火たち。
なんとなく物悲しさを感じるようになってしまったのは、いつからなんでしょうかね。
心臓の辺りに真っ黒な穴が開いていて、そこに何かが吸い込まれていくような感じ。
失恋とか、さみしさとかそんな感情とはちょっと違うなんともいえない気分です。
そんな私の胸の内なんて知るよしもなく、花火の色が変わっただけでも大はしゃぎする子供達。
何度教えてもろうそくの火を消してしまうので、私はライター片手に火をつけなおす役です。
私の家は田舎なので庭で花火ができますが、都会ではなかなか難しいだろうなと思います。
煙や音を気にして、控えているご家庭も多いでしょう。
こんなとき田舎に住むという選択肢を選んで良かったなと思います。通勤は大変ですし、不便なところもたくさんあるのですけどね…。
彼らも、いつかは私と同じ立場になり、同じ気持ちになるのでしょうか。
そして、自分の両親は一体どんなことを考えながら私達を見守っていたのでしょうか。